今年良かった映画 

殺人者の記憶法

「信用できない語り手」映画というのは割とずるいと思っているのだけれど、それはそれとして暴力描写のキレとちょっとベタではあるけどグッとくる主人公の想い、そして無間地獄めいたラストカットに痺れた。


スリー・ビルボード

「復讐、それだけが生きる意味になりえるんだよ」と五十嵐隆は歌ったけれど、その「生きる」に纏わりつく怒りや悲しみのやるせない重さに丁寧に向き合った作品。後半というかあのろくでなしの保安官にフォーカスしてからの展開が好き。あの最後の道行きの空気も凄く好き。


レッド・スパロー

いくつもの理不尽が重なって追い込まれたスパイの世界で秘められた素質が開花する、という話ではあるんですけど、他であんだけアクションやってるジェニファー・ローレンスを呼んできて、こういう感じで撮るというのは妙な新鮮さがあって、良かった。完全にやさぐれにやさぐれ、枯れに枯れたジェレミー・アイアンズも眼福である。


ミスミソウ

少年少女の鬱屈から暴力へとつなげていく手腕はさすが内藤監督という手さばき(原作が原作ではあるけど)。雪と血の調和。それはそれとして百合の彩度と密度の濃さに脳が痺れた。


リズと青い鳥

音できちんとすべてを語らなければいけない、というところに全力で挑み、そしてやり遂げたのが凄い。それはそれとして足にも全力投球なのがさすがの山田尚子である。


ウィンド・リバー

ある種の境界線が確かにあり、そこには別の法があることを血と雪と暴力とジェレミー・レナーの真顔で見る者に叩き込んでくる。


検察側の罪人

そこにあるものをカメラで切り取ることにより、見慣れたはずのものが異様な何かに変わってしまうという魔法が確かにここにはある。


アントマン&ワスプ

AOU以降のMCUで一番好き、かもしれぬ。マクガフィンの奪い合いという古典的なアクションでも、やっぱり撮りようなんですよね。単純にカーチェイスが好きというのもある。

 

イコライザー2

家に帰る、というところに至るまでに生み出された無数の死体を考えると辛いですね、マッコールさん。俗に言う「なめてた相手が殺人マシーン」映画として並び称される『ジョン・ウィック』シリーズの同じ2作目と比べると、こっちの方が帰結としてしっくりきた。

 

テルマ

君と銀の庭。

 

・ボーダーライン ソルジャーズ・デイ

人と人が集まることにより生まれるこの圧倒的な理不尽、法に縛られることのないこの理不尽よ。という渋面の下で暴れまわる「ヘリと車両をかっこよく撮りたい」という偏愛のきらめき。


・魔女

「脳の使われていない部分を目覚めさせることで超常の力を……」云々という使い古された設定から生み出されたSF異能アクションの最先端の形がここに。そこに至るまでの人情噺も生き生きしてて良いんですよね。


・恐怖の報酬【完全版】

地獄の黙示録』しかり、ジャングルというのは何故にここまで力を持っているのか。そしてその力の奔流を役者に容赦なくぶつけていくフリードキンの恐ろしさよ。

 

・ホールド・ザ・ダーク

延々と主人公がよく分からないまま巻き込まれる陰鬱・陰惨・無残の嵐を一緒に見届けた後のこの妙な脱力感がクセになっている、のか?本当か?中盤の籠城戦の地獄絵図は白眉。


仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER

 仮面ライダーは、いる。

 

 

*

今年良かったアルバム 

NAO『Saturn』
Chara『Baby Bump』
The Internet『Hive Mind』
Eartheater『Irisiri』
The Novemvers『Live sessions at Red Bull Music Studios Tokyo』
PALM『TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE』
Portal『ION』
KID FRESINO『ai qing』
Black Eyed Peas『Masters of The Sun』
Jack White『Boarding House Reach』