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今年良かった映画ベスト10
・ミスター・ガラス
人間の想像力が生み出す物語、そしてその物語を信じる人間の強さ。
それに対する賛歌をずっと撮ってきたシャマラン監督による圧巻のヒーロー映画。
直近の『スプリット』はともかく、『アンブレイカブル』の主要キャストがそのまま出てくれたのがかなり大きい。
・THE GUILTY
人の深淵を覗いていたらいつのまにか自分のそれに繋がってしまっていたというある種のホラー、あるいは憑き物落とし。
ほぼ電話ごしの声だけを相手にしての一人芝居をやり通したヤコブ・セーダーグレンに拍手。
・スパイダーマン:スパイダーバース
コミックを読んでいる感覚に限りなく近づけるビジュアルと一人の少年がヒーローとして目覚めるまでの丁寧なストーリーテリングの融合。
何度も目にしてきたピーター・パーカーの足取りをなぞりながら、そのピーターのくすぶった心に火を灯し、自分も飛び立つマイルスの鮮やかさ。
・スノー・ロワイヤル
話が進むごとに「理想的な市民」だったはずの主人公の内の虚ろさが露わになるえげつなさ、そしてそれをやんわりとなだめすかすような笑いの数々。
正気を失ったかのような乱痴気騒ぎの果てのあの夜明けの美しさよ。
・仮面ライダージオウ Over Quarzter
「それを言ったらお終いだろ」なんだけど、それを言えるのは平成ライダーだけだし、それを言えるタイミングもここしかなかったのは確かなので、もう観念するしかなかった。
・アルキメデスの大戦
自らの信念、強迫観念、美意識……そういったものに溺れ、殉じ、時代の荒波に消えていく男たちの姿。
田中泯があまりにも魔性すぎて完全に屈服してしまう。
・ゴーストランドの惨劇
正気じゃない現実から逃げ出すための正気のような幻。
幻で現実は変わらないけど、幻によって変わった自分は現実。
「心の傷なんてものは目に映らないので」と言わんばかりの傷と痣と泡のつるべ打ちはさすがにパスカル・ロジェである。
・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
正気じゃない現実から逃げ出すための正気のような幻。
幻で現実は変わらないけど、幻によって変わった自分は現実。
とまあ、書いたんですけど、実際似たような構造ではあると思うんです。
ただこっちは「変わった自分」が登場人物ではなく、観客を想定しているのが違う。
・クロール
・ドクタースリープ