愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

米澤穂信愚者のエンドロール

折木奉太郎古典部の面々は千反田えるに引き連れられ、あるクラスが文化祭での発表するために作った自主映画を見せられる。
その映画の中では密室の中で少年が腕を切り落とされる事件が起きるが、真相が分からないまま映画が終わってしまう。
いぶかしがる折木らに対し、そのクラスの代表である入須は、この映画の結末探しを依頼する。

この小説では当然探偵役である折木が、映画の中の事件を解決するわけなのだが、構造が少し複雑になっていて、それがとても面白い。

「人に語られることで『事実』は初めて生まれる」という逆説を逆手に取ったような展開。

ミステリにおいて全知全能の神と同義であるはずの探偵が、実はいいように操られていたという衝撃。

正解が一つであるとは限らない。

濃度の高い良質ミステリ。