Rufus Wainwright

Rufus Wainwright

Rufus WainwrightRufus Wainwright

古典的(?)なシンガーソングライターの作品っていうのは、あんまり好きじゃない。

アウトプットが一つだけの世界観というのはよくも悪くも整理されていて、かつどうしても内省的というか個人的になってしまいがちで、どうしてもあんまりそこに興奮できないというか。

「やっぱりバンド・マジックというか人と人の摩擦で生まれる何かが大事なんじゃないの」という妙に甘ったれたロマンチストっぽいことを考えてしまうというか。

ただ、ツタヤのレンタル用の視聴機でこのアルバムの一曲目「Foolish Love」を聴いた時、この人の歌にどうしようもなく打ちのめされた。

アメリカ音楽界の大御所であるヴァン・ダイク・パークスを制作陣に迎えたこのアルバムは、ロック以前の、クラシカルなアメリカ音楽による華麗でありながら、同時に狂おしい程切ない、濃密なルーファスの世界が広がっている。

それはどうしようもなく上述のシンガーソングライターそのもののはずなのに、なぜこんなに惹かれてしまうのか。

なぜなんだろう。

ただただこの甘く苦い世界にまどろんでいたい。