本日の『Baby Princess

今日は綿雪

昨日の流れからすると、これほどふさわしい人もいないけど、辛いものになりそうな。

どうしよう――

どうしようどうしよう
どうしよう――

お兄ちゃん、ユキ――
どうしたらいいの?

氷柱お姉ちゃん、
ユキのこと――
置いて行っちゃった……

どうしよう――

そりゃ、こうなるわな……。

ご、ごめんなさい、ユキ――

どんな時だって、
泣いたりしたら――いけないのに。

泣いたら不幸がやってくるのに。

なんという健気さ。

夜になると
ユキが眠る前には、
トントントンって
小さなノックの音がして――

細く開いたドアの影から
小さく――でもとっても優しく
笑った氷柱お姉ちゃんの
お顔がのぞいてて――

でも――いつも毎晩そんなコトしに
来てくれるのは氷柱お姉ちゃんだけで――。

ユキが「大丈夫、元気だよ!」
って握りこぶしを作ると、フッて。

やっぱり小さく笑って――
ユキの頭をポンってたたくと。

「おやすみ」

って――。

やっぱり氷柱が一番綿雪のことを思っているっていうのが分かるよね。

こうやってきちんと語られるのは初めて。

ユキ、それがないのは
退院してきてから初めてで
なんだか上手く眠れなくて――。

安心毛布。

ユキは知らなかったんだけど、
霙お姉ちゃんには
ちゃんと連絡があって――

「お友達のお家に泊まってくる」
からって、言ってたんですって。

霙姉さんか。

ちゃんと分かってる人選だな、おい。

あの人はとりあえず各自の意志を尊重するからなぁ。

きっと――
ユキが氷柱お姉ちゃんに
あんまり面倒ばっかりかけるから
いやになっちゃったのかな?

うぅん、きっと氷柱お姉ちゃんは
ユキのためにいままでそういうの
我慢してくれてたのかな――

あぁ、おいおいこういうすれ違いはほんと勘弁してほしいわぁ……。

お兄ちゃん――

ユキの涙が止まる方法、
教えて下さい――

これはもうトゥルー俺、走りまわるしかねぇよな。

でも、その前に綿雪が眠れるまでは側にいてあげんとな。