次はヒカル

なんだ――
まだこんなところにいたのか。

もう風呂に入る時間なのに。

パーティーでは妹たちの
チョコ攻撃にあっていたからな。

よく顔を洗わないと、
明日あたりニキビが出るかもな。

いやあれは身体の中の問題で、っていうかひょっとして普通にチョコぶっかけられたのか?

なんか――
浮かない顔してるな?

もしかしてやっぱり――
チョコの食い過ぎで気分が悪いのか?

そりゃああれだけのチョコを食べたら――
仕方ないよな。

いや、そういう訳では……。

この辺の微妙な鈍感さは、相変わらず。

でもまあ――年に1度のことだ。
みんなの愛されるお兄ちゃんとしては
それくらいガマンしてやれ。

なんか父親目線じゃない?

なんだか――前から思ってたけど。
バレンタインデーって――

愛を告白される方の人間よりも――
告白する方のが嬉しくて楽しくて、
幸せな1日なんだな――きっと。

だな。

「お兄ちゃん大好き!」って顔が本当に輝いていて――。

ああいう顔を見るのが――私は好きなんだ。

いいもんだよ。

だから――私は。

見てるだけでいいんだ。

――うん。

妹たちの幸せを――奪いたくないし――

なんて――な、あ、あはははは

おお……。

今年は――もうこの後のチョコ攻撃はなしだ。
毎年、この後も学校でもらわされる袋いっぱいの
チョコが残って、みんなでせっせと食べる
羽目になってたけど――

今年は――断ってきたから。

今年は――本命がいるからって。

もうチョコレートは受け取らないって宣言したんだ。

だからオマエに――これをやる。

おおお!?

チョコ買うのなんて生まれて初めてで恥ずかしくて――
結局ガムになっちゃったけど。

今なら――ちょうどいいだろう?

……

ハッピー・バレンタイン。

私はオマエのことが、す、す、す―――

なんという!