沖方丁オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White』

犯罪が多発する国際都市ミリオポリス。

この街の警察組織MPBには、機械の手足を持つ少女たちのチームが存在した。

彼女たちは最新鋭の武器を使い、立ちふさがる敵を次々と排除していく。

三人のヒロインにそれぞれ一話ずつスポットを当てた短編集。

「肉体的に欠損のある子供の体を機械に改造し、軍や警察の任務につかせる」という、ここだけ読めばまんま『ガンスリンガー・ガール』な設定が基礎として存在している世界観。

だけど大きく違うのは、こちらの世界では精神的な改造は行っていないということ。

だから、その機械仕掛けの体を手に入れるはめになった過程で傷ついた心というものはそのままにされてるわけで、で、まぁ仕事を通じて、それを克服して、成長していく、みたいな話です。

とは言うものの、この主人公の少女達は、そんなトラウマなんて感じさせないほど、(本心は別として、表面上は)とてもパワフル。

記号を多様した、非常に独特な文体も相まって、物語全体がとても疾走感と躍動感のあるものになっている。

個人的には二話が好き。

狙撃手ものと歳の差カップルが好きな俺にはたまらない。

にしても、この街はやたらと同性愛嫌悪者やら人種主義者が多くて、で、敵もそんなんばっかりなんだけど、その割に義体反対論者はいないんだね。

「体に機械を埋め込むなんて、生命への冒涜だ!」とか言いそうな人、多い気がすんだけど。