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『劇場版交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』を観てきた。
以下、感想。
ネタバレばっかだから隠しておく。
実験により「未来」を奪われたホランドたち、大人の肉体と子供の精神を持つ彼らは、高度資本主義の中で搾取される人々や、奇形な成熟を迎えるしかない現代の若者たちの露骨なメタファーであり、彼らがピーターパンを基調としたアゲハ神話、もともと彼らの「未来」を奪うきっかけとなった本来忌むべきはずのそれにすがるのは、「大きな物語」なき現代で、人々がそれぞれを受け入れてくれる「小さな物語」に分離していることの表れなのだろう。
自分たちを受け入れない世界にノーを突きつけ、自分たちを受け入れる世界=ネバーランドへ向かおうとする月光号のメンバーは、あるいは、それこそオタク達そのものなのもかもしれない。
そういえば、途中でハッチがアゲハ神話の原典とエウレカとレントン、ニルヴァーシュとの差異をあげつらって、胸糞の悪い暴走するシーンあったけどさ、あれとか、ほんとダメなオタクって感じだったし。
そんな彼らが徹底的にレントンにやり込められるってのは、よかった。
劇場版エヴァの最後の「気持ちわるい」じゃないけど、オタクに対するアニメ側からのノーサインみたいなね。
京田監督、庵野さん好きっぽいし、若干意識してたりしてなかったりするんじゃなかろうか。
それに比べてレントンとエウレカはね……えっとね、ラブラブすぎるよね(笑)
最初から最後までずっともういちゃいちゃいちゃいちゃ。
レントンが「世界全部敵に回しても、君を守る」って言うのはまぁいいとして、エウレカが「私を守ってね」って言ったのには若干「うへぇ」ってなった。
「このまま、二人の閉じたセカイでいちゃつかれたらどうしよう」とか思ったけど、まぁさすがに、そこはなんとかなってよかった。
と思ったけど、あんまなんともなってない気もする。
でもまぁ、いいかな。
だって赤面したエウレカの破壊力はとんでもなかったから。
で、
この映画が面白かったか、ってことですが、正直いい作品だとは思ったけど、そんなに面白くはなかったです。
なんでこんなに自分でも微妙なのか、あれこれ考えてて、で、今こうしてこれを書いてて思いついたのがね、
敵がいない
ってことが結構大きいんだと思う。
一応イマージュが人類の敵ってことになってるけど、なんだかんだで、あんまレントンたちイマージュと戦ってないじゃないですか。
じゃあ、軍が敵かって言ったら、それもまた微妙じゃないですか。
ホランド達がなんか一番敵っぽかったけど、それでも共闘するとか言ってたし。
ていうかアニメ版から見てる人間がホランド達に敵対感情は持ちにくいよな。
だから全体的に戦ってるくせに戦ってないというか、敵がいないようで敵だらけというか、何かを見出したかと言えば、何も見出していないような、そんな微妙な感じの作品になってる気がする。
カタルシスがイマイチないというか。
ま、難しい話はここまで。
ニルヴァーシュの幼生は、あれですね、ギリギリで可愛かったね。
あれ以上、騒がしいとうざくなるけど、ギリギリで、可愛い!と言えるレベルで収まってた。
ジ・エンドも可愛かったけど、あれ、頭の形がちょっとドミニクっぽくなかろうか。
それにしてもアネモネとドミニクが消えるときに裸になってた意味があったのだろうか。
唐突すぎて、コーダもそら、きょとんとなるわ。
あ、アネモネにもビックリした。
最初おばあさんが出てきた時は、もうこのまま行くのかと心配した。
ま、結局はおいしい役でしたがね。
にしてもデューイは災難な扱い。
単なる小児性愛者扱いとは……。
哀れすぎる。
あとハップもね。
アニメの時は良識的な人だったのに、こっちじゃ単なるクズという。
あの死に様はもう当然としか思えなかった。
ホランドを引き立たせるための演出かね?
そう思わんとやってられんよ(笑)
今パンフ読んでようやく気付いたけど、レントンの親父の名前がアドロックからチャールズになっとる。
なんかちょっといいね、これ。
8年前のドーハの悲劇の時に別世界に吹っ飛ばされるホランドとタルホがサクヤとノルヴの格好してるとことか芸が細かくてよかった。
あの別世界がテレビ版の世界ってことでいいのかね。
まぁ、なんにせよ。
あ、iLLの“Space Rock”よかった。
バッチリ噛み合ってた。