本日の『Baby Princess

今日は霙

こたつの上には――
みかん。

ただ――
みかん以外にあるべき
ものはない。

こたつの上に虚空は許されず、
あるべきものはただ
みかん以外になく――

そのみかんは常に――
冬の乾いた空気にふと、
のどの渇いた誰かを待っている。

もちろん、それが――
この宇宙の正しい法則だ。

……

などと――
言ったら。

オマエは私の頭が
おかしくなったと
思うだろうか?

フフフフフ――

もちろん――

宇宙とみかんは
この際全然関係ない。

まるで、なんにもだ。

ただ――

私は思うだけだ。

こたつの上には――ゆるぎなく
ただみかんが――あるべきだと。

恐ろしく冷え込んだ
昨日の冷気を受けて――

ついに蛍がこたつを出しても良いと
許可を出した。

蛍は――どうやらこたつが
あまり好きではないらしい。

不幸なことだ。

あのように――あたたかく
優しく、そして深遠なる
宇宙を――体現する存在は
他にはないというのに。

どうやら蛍は――
あのこたつの抱える宇宙の中に
チビどもが何人も入り込んでは
もぞもぞと遊んでいたり、
そのせいでこたつぶとんが
とてもほこりっぽくなったり
挙げ句に眠り込んでしまったりするのが――

好きじゃないらしい。

私は――今でも好きだが。
もし、あの中に――
すっぽり入ってしまえるだけの空間が
今なおあったら――

きっと私はチビたちと一緒に
入り込んでしまうかもしれない。

ああ――大きいこたつが欲しい。

長いんだけど、なんだかとても気に入ってしまったので、全文貼ってしまった。

この人のずれてるんだけど筋の通ってる感じがとても好きだ。