霙姉さん(pm8:30)

この世にたった2つだけ。

あんこと、
チョコレートの――

深い艶のある暗色はまるで――

――宇宙の色。

この加速し続ける神秘の宇宙を
体現するような――

深い奥行きのある――味と香り。

ダメな中二。

私はチョコレートはけっこう好きだ。

さらに一応言っておくと、
特にダークトリュフが好みだ。
なるべくシンプルなヤツ。

チョイスからもう。

だから今年は――

なかなか良きバレンタインだと思う。

それぞれにチョコレートを
用意するということになった
おかげで――

おこぼれがいっぱい
出たからな。

食いしんぼう万歳。

だいたい――大人数の我が家では、
みなモノを多め多めに作るクセがあるんだ。

今日の夕食のメニューの、
あの蛍と春風にしてついに、
初めての試みであるというところの
チョコレートファウンテンだって――
たらいにいっぱいあったからな。

ちゃんといっぱい食べたか?

あれってそれ専用の機材いるんじゃないの?

頑張るなぁ。

今年はヒカルの持って帰ってくる
後輩チョコがない分
余裕があると思っていたのだが――。

そういえばヒカルはどこにいったのだ?

いまだ逃亡中か。

意地張りすぎだ。

こんなにチョコレートを
食べていては――
私もこの宇宙のように
加速膨張してしまうかもしれない。

まるで風船のように――
ふくふくと。

もし私が太ってしまっても――
オマエは変わらずに
私を姉として愛することができるか?

おぉ……まぁ大丈夫でしょう。

というか今まで太ってないのが逆に不思議なくらい食べてるからな、この人。

私は――もしオマエがまるで
関取のように太っていても。

今と全く変わらずに、
オマエを愛することができるぞ?

それに私は――意外と
ぽっちゃりも好きなんだ(はぁと)

オマエが太ったら――
その段腹を持ち上げて
隙間を洗ってやるだろう。

なかなか魅力的な提案だが、却下したい。

安心して――肥え太るがよい。

嫁の来手がなくとも――

望むところだ(はぁと)

望まないでください。