本日の『Baby Princess

今日は吹雪

有性生殖をする
恒温動物である、
人類が――

単性で繁殖をする
ことはありません。

また――
同時に。

ほ乳類であり、
胎盤類である、
人類が――

極端な多胎や、
多産をすることは――

構造的に不可能であるとも
言えます。

おそらく現代の一般的な
限界は10人前後。

ですから――

やはり。

私達のような、
19人姉妹――

いえ。

20人きょうだい、

というのは――
非常に珍しい――

奇跡のような存在であると
言えるでしょう。

そうだね。


世間では聖夜と言われる
今日この日に起こったという――
伝説の奇跡よりも。

私にはそれこそが――
奇跡のようなことに思えます。

限りなく確率的なゼロに近い――
でもゼロではないからこその、

奇跡。

毎日が奇跡。

私が――
この世に生まれてある奇跡。

そして今、キミと共にある奇跡。

私達家族が――
今日ここにともに
幸せである奇跡。

これからも――
私達家族がある限り、
奇跡の日々は
ずっとずっと続いていくと
いうことなのでしょう。

私は思います。

この世の不思議には全て、
隠された理由と理があって、
それをただ、まだ人類が知らないというだけで――
不思議とされているけれど。

真の不思議は――
私達が身体のウチに抱えている、
この名状しがたい温かな感情――
なのではないでしょうか?

人はよくそれを“愛”と
呼ぶようですが――

本当にその言葉が正しいのか
私にはわかりません。

ただ――
今感じていることは。

皆が幸せそうに笑う聖夜を迎えて、
また一つ――大きな奇跡が
我が家に起きていると言うことです。

今夜もこの奇跡の中で、
キミが幸せでありますように。

ああ――あさひが泣いています。
もう行かなくては――

幸せだよ。

十分に幸せにしてもらった。

3年間、ありがとう。

最後まで見届けさせてもらいます。

ありがとう。

しかしこの最後の台詞でアンデルセン神父が最後の戦いに赴く姿を思い出したのは俺だけだろうか。