次は蛍

あ、お兄ちゃん――
もうお食事はおすみになりましたか?

良かったらこの皿、
もうかたづけてしまいますね(はぁと)

ちゃんとおなかいっぱいに――
なれたかな――

なるでしょう、チョコは。

やっぱり――
せっかくのバレンタインなんですもの、
もっとこうガッツリとしたメニューが
メインにあっても良かったんじゃ
ないかなって思って――。

例えば――
チョコレート丼とか、
チョコレート鍋とか?

この愛の1日にふさわしい――
ちょっぴり冒険的なメニュー

それは危ない匂いが。

ほら、この前の霙お姉ちゃんの
あんこ鍋が意外と――
イケてたじゃないですか!

え!?

でも、今年のメニュー作成は春風ちゃんが
メイン担当で、
全体にきれいなメニューで
まとめたいということだったので――

ホタはこっそりチョコグラタンを
忍び込ませるのが精一杯でした。

まさかの飛び道具派だったのか、蛍……。

あの――ね。

バレンタインデーって――
私達にはとってもとっても嬉しい
幸せな1日だけど――
いつもみんなちょっと大騒ぎしすぎちゃって。

お兄ちゃんをちょっぴり疲れさせちゃう
ところがあるでしょう?

余りにもいっぱいの温かさ。

確かにちょっとね。

だから今年は――
ホタは思ったの。

盛り上がりすぎのパーティー
奇抜なメニューもちょっぴりガマンして――

本物のしっとり優しい愛の幸せ(はぁと)

家族ならではの――
心の底から優しい幸せの
ハッピーファミリー・バレンタイン(はぁと)

ゆったりたっぷり落ち着いて――
みんな笑顔のバレンタインになったらいいなって。

うぅん、結構、いつも通りのような……。

でもいいや、楽しいもの。

でも――

このまま、終わり、じゃあ――

やっぱりちょっぴり。

寂しい――気がしませんか?

へ?

じつは、ホタは今なんだかちょっぴり――
物足りない気分のイケナイ子なんです(はぁと)

いっぱい食べたチョコレートの効果かな?

だから、お兄ちゃん――

がんばったホタに今ちょっぴり
ごほうび――してくれませんか?

ホタにそっと――がんばったね、の

チュ

してほしいの(はぁと)

ほら――今なら誰も
見ていないから――

なんという吸引力。

ダイソンもびっくり。