レオス・カラックスの『汚れた血』を観た。

もっと落ち着いた演出なのだろうと思って観たのだけれど、全然そんなことはなかった。

なんか『未来世紀ブラジル』を観た時も似たようなギャップがあったなぁと思いつつ。

演劇っぽい?と言えばいいのかな。

見せるということに対して、ベタというよりかはメタな視点を感じる。

冒頭20分くらいまでの、特にアレックスとリーズが森から出て、バイクに乗るまでの下りは確かに美しかった。

無邪気に笑うリーズ、無表情に涙を流すアレックス。

最後、車で飛行場に向かう下りも良かった。

特にアンナがアレックスの出血に気付いた時の「黙っておいてくれ」とでも言うようなアレックスの笑顔がすごく良い。

シャドーボクシング、腹話術、カードプレイ……自分一人だけで完結するものばかりが得意なアレックス。

その硬い心がゆっくりと緩んでいくような笑顔。


この作品には鏡やガラスがよく出てくるが、実際登場人物たちの関係も鏡やガラスを通して行われているような、もどかしいすれ違いばかりで、これが青春と言うものか。

たまったもんじゃないな。