17:00 チュチュチュの――

春風さんだもの

あっ

発見!

春風の世界一大切な大切な――

王子様

――るんっ♪

るんっ

本当はもっともっと――
遅い時間に――

夜も更けて――
月も出て――

チョコレートの妖しい
ビターな香りに包まれて、
もう2人どうにもならない
止まらない感じに
なっちゃってから――

出会ってアレコレいろいろ
するはずだったのに――

平常通りの営業である。

ちょうどこれから夕ご飯の
支度もしなくちゃいけない
ところだし――

せっかくこうして、
バレンタインの日に
王子様と2人っきりになったのに
それがうっかりのフリして倒れこむ
ベッドもない廊下でだなんて――

そんなの――
そんなの――

あんまりです!
神様〜!!!

新喜劇を思い出すな、これ。

そんな春風を――少しでも
気にしてくれるなら――

今なら誰も見てないですから――
ここでご褒美のチュ を春風に
くださっていいんですよ♪

ほら、春風はいつでも――
目をつむって待ってます

きゃーん

早く早く、早く来て――
王子様

ここから、

……

ダメ。

春風はもう待っている間に
キュンキュンしすぎて――
胸がつらいから

春風の方からいっきます!

このベクトル転換。