本日の『Baby Princess

今日は霙姉さん

今日は――
2月29日。

空白の1日だ。

4年に1度だけ――

たった1日だけ
巡ってくる――

ぽっかりと
宙に浮いた――

はかない
幻のように――

よるべない
空白の1日。

まるでこの日を
象徴するように――

今日は――

この街でも――
世界を覆い尽くすように
降りしきった――

真っ白な雪、雪、雪、だ。

なんとなく今日は吹雪が担当かと思っていたが、まぁ納得の人選。


今日というこの
1日の空隙を――

この白い雪で
すっかり埋めて

まるでなかったことにして
しまうかのように――。

この天空の進行が
4年に1度のたった
1日の誤差を――

恥ずかしがって――
消してしまいたがって
いるようにも見える。

詩人。


1461分の1の――
あまりものの日。

そんな今日が――
あまりにも愛おしくて。

今日はついつい――

学校を休んでしまった。

――え?

いやいや、
まさかまさか――

雪が嫌でサボった、
なんていうわけでは――

もちろんナイぞ

学校での私も今日は
空白の1日というだけで――

安定の霙姉さん。


そういうオマエは――
今日はこの雪の中、
どこか外に出て行ったのか?

やれやれ。

ご苦労なことだな。

まあ――男だからな。

天候ぐらいで騒がずに
粛々と勉学に労働に
いそしむのは――

立派なことだ。

そうだ!

そんな立派な弟に――
1日中安らかな空白を
楽しんでいたこの姉から――

心からのねぎらいを贈ろう!

よしよし、偉かったぞ

じゃあな

てっきとうだなぁ!