本日の『Baby Princess

今日は麗

日本海が引退したり
十鉄が廃止になったり――

今年もいろいろ話題の――
3月も、

ついに最後の週ね。

ふだんはみんな
ちっとも関心ないくせに――
こんな時ばっかり。

テレビで映したりして――
手のひら返し!

残念です、
この風情を残してほしい、って――

そういう風に大騒ぎしてるみんなが
ふだん全然使わないから――
廃線になるのに!!

まったくもう――
だから、大人って嫌いよ。

そうだね。


ホント――
嫌な季節ね。

3月。

私はもともと――
お別れって苦手なの。

好きなものは――

どこまでも無限に伸びていく
銀色に光るレール。

いつも同じ時間に
きちんとやってくる
頼もしい車体。

そしていつまでも――

刻々と正確な刻み目を
保ちながら進んでゆく
美しいダイヤグラム――。

ただ何事もなくまっすぐ
ひたすなに平らに
流れていく時間が――

私の1番好きな物
なのに――。

安定の象徴なのか。


でもそんな風に思って
むくれていたら――

霙姉様に――
言われたわ。

“有象無象の変化も
この宇宙の日常であり
麗の言葉でいうならば
予定されたダイヤの
刻み目の1つにすぎない。
またもし変化というものを
すべて否定するならば――
今ここに在る麗という存在の
誕生をも否定することになる”

……。

姉さん!

そんなの――
わかってる。

……

ただ――私は、ただ――

……

私の気持ちを――

……

伝えたかっただけ。

引退した電車たちは
ずっとずっと私の胸に
生き続けるし――

引退したって、
新しいチャンスを得て
別のローカル線でがんばる
車両だっている。

そんなことわかってるけど――

でも、新しいステップに進むときは
いつだって――

少し臆病になるのよ。

……

こんな時――
あなたがそこにいてくれて
少し――

よかったって思う。

あなたの顔を見てると
なんだか少し安心するの。

マヌケな顔――
だからな?

フフ

男の人もたまには――
役に立つものね。

そうかい。