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『バッド・ルーテナント』を観た。
薬物中毒の汚職警官が主人公なんだけど、落ちれば落ちるほど天井に近づいていく奇妙な浮遊感を、相変わらず地に足着いてる感じがしない面構えのニコラス・ケイジが腰痛抱えてひょこひょこしながら体現。
裏『ワイルド・アット・ハート』な感じ。
期待以上の佳作だった。
ちょこちょこ決定的な落とし穴が目の前をよぎるのにそれが片っ端から自分で埋まって行く有様で、観てるこっちとしては「へ?お、おう……」なんだけど、多分それはケイジ演じるテレンスも同じ気分なんじゃなかろうかと最後のあの笑みを観て思ったりした。
だからあからさまに鉄火場の風情を垂れ流しにしてるパッケージのデザインはミスリード過ぎるし、三番目に大きく写ってるヴァル・キルマーなんて二時間の中で十分も出てないやん。
まあそういう肩透かしも不思議と味になる作品という気もする。
しかしこの出来で、製作費の半分も回収できなかったのか……。
世知辛いなあ……。