『怒り』を観た。

ある殺人事件の犯人探しを中心線として、そこに東京、千葉、沖縄の三つの場所で繰り広げられるドラマが絡んでいくという複雑な構成で、それを演出や編集で見事にまとめあげて、久しぶりにどっしりと腰の据わった映画を観た気分。

「怒り」というのは殺人事件とその犯人にまつわるキーワードではあるんだけど、映画全体を観た時は「信じる」というのがキーワードじゃないかなと思う。

信じたい、信じてる、信じてるから傷つく、傷つきたくない、信じられない。

そんな風にすれ違ったり、腰が引けたり、ぶつかったりしていく人たち。

個人的には妻夫木聡綾野剛が演じるゲイカップルの話のあまりのエモさに降参。

あんなに所在なさげで背中が柔らかそうな綾野剛は初めてだったし、母親の病室の前で必死に動揺を押し殺そうとしている妻夫木聡もかなり良かった。