氷柱(am8:30)

まさかこんな朝からとは。

ちょっと――
もう!

いつまで寝てるのよ、
このアホ下僕!

8時半は勘弁してつかぁさい。

おかげで、蛍ちゃんに
起こしてきてって使い走りに
させられるし――

アナタのせいで
朝ご飯がいつまでたっても
終わらないでしょ?

早いなトゥルー家。

よりによってバレンタインの朝の
メニュー担当が蛍ちゃんなんて、
どうせとんでもないメニューに決まってるから
起きたくないっていう気持ちはわかるけど――
1人だけ逃げるのは卑怯っていうものだわ。

まぁ蛍は前科持ちだからなぁ。

張り切る分にはありがたい。

あ――

朝から気分悪。

この私が下僕の部屋に
起こしに来なきゃいけないなんて。

いいですか、みなさん、これがフリというものです。

まったく、しようのない寒がり。
仕方ないから、ほら。

あっためてきてあげたわよ。

あなたの――着替え。

言っておくけど、下僕のため
なんかじゃ絶対絶対――

ないからね!?

で、これがデレというものです。

分かりやすいですね。

ほら!
もう、観念して
さっさと起きたら?

いい加減にしないと――襲うわよ?

アナタは知らないだろうけど――
私に襲われたらタイヘンなんだから。
脱がされるくらいじゃすまないわ。
もう、この頭脳の思いつく限りの
あんなことやこんなことや辱めを――

……フフ(はぁと)

……これは、なんなんだ、このテンションは。

これ程までの意味の分からんハイテンション、さすがバレンタインの魔力。

だからそうされたくなかったら、
さっさと起きて。
ついでに渡すものもあるんだし。
ホラふとんを―――

……

はぁっ!?????

虹子!!??

そして悲劇へ。

バカ!!

バカばか!!!

もう知らない――

かわいいね。