観月(am10:30)

先刻――氷柱姉じゃに会うたのじゃが、

兄じゃは今日がバレンタインデーなのに
誰もチョコをくれないことを悲観して、
この家を出て行った、と――

怒ってらっしゃる。

氷柱姉じゃは――やたらといきりたって
あんな外道はチョコをもらえなくて当然だ、
だいたいなんだって家族の間でチョコを
あげなくちゃいけないんだ!
あんなヤツはそもそも家族なんかじゃない、
いなくなってせいせいだ!

などと――いろいろと矛盾したことを
言うておったが。

幼稚園児につっこまれる天才少女。

まったく――わらわ達は
仲良き兄じゃと姉じゃをもったものじゃ!

暖かい目で見守られている兄と姉。

兄じゃは――プロポーズとは何か
知っておるか?

ほうほう、お利口さんじゃのう――

ここまでずっと上から目線。

そうじゃ、オノコとオナゴが――
行く末を固く契ることじゃ。

1度契ってしまえば――
後戻りはできぬぞよ!

それでも、兄じゃは――
わらわと契りを結ぶや、否や?

決心はいかに――。

こぇえ。

我が家の一員以外に、
わらわのオーラに耐えられる者はおらぬ。
生半可なオノコではその身を
焼かれてしまうであろ。

じゃから――我が家に
オノコが生まれ出たことは
まったく僥倖。

天の配剤じゃ(はぁと)

オーラ、こぇえ。

「天の配剤」って聞いてなぜか鷲巣の顔が浮かんだ。

わらわはまだ5歳じゃが――
ゆくゆくは子孫を残さねばならぬ。

兄じゃとわらわの契りは
運命なのじゃ――!!

やはりプロポーズは爆弾ばっかだな。