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ソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』、もうすぐ公開終了だから観てきた。
良かった。
すかしながらもベタ、何とも不思議な味わい。
空々しい美しさをたたえた画面が描く、白々しいセレブの世界と穏やかな娘との時間。
アバンの時点でラストが分かってしまうほど、一直線の物語は、それでも最後まで楽しませてくれる隙のない作りでした。
基本的に同じ視点からの長回しを多用したカメラワークが特徴で、その反復を少しずつずらしていくことで意味や情緒を生み出していく感じ。
例えば主人公のジョニーと娘のクレオが車に乗る時、それまでジョニーが座っている側からのアングルだったのを、最後だけクレオ側のアングルで撮って、なおかつその時に車を故障させることで、あのラストシーンへときれいに繋げたところはうまかったな。
一人ぼっちの部屋でジョニーがクレオが座ってた辺りのクッションをなんとなしに触るとこも良かった。
クレオがソファに座ってるのが映ってるシーンなんて、ジョニーがギプスを外してる方に視線が集中してしまうようなとこなのに、まさかそこを前フリにするとは。
あとやっぱりソフィア・コッポラって、女の子を可愛く撮る術に異様に長けてるよね。
青と白で構成されたキッチンの中、青と白の市松模様のワンピース着て朝食を作るクレオとか、きまり過ぎてて怖いくらい。
机の上に腰かけてルームサービスに電話してるところとかも、光のあたり具合とか足の感じとか眼鏡とか最高でしたよね。
しかしクレオ役のエル・ファニング(ダコタ・ファニングの妹。あんま似てない)といい、『ヴァージン・スーサイズ』や『マリー・アントワネット』で起用したキルステン・ダンストといい、ソフィア・コッポラの好みはちょっとアレだな……。
ジョニー役のスティーブン・ドーフも、よかったな。
はにかむと愛嬌があるんだ、これが。
『ブレイド』でフロストを演じてたのと全然繋がらない。
余談。
主な舞台になったホテル、シャトー・マーモントはスパイク・リーが『ガール6』でロケに使ったりもしたらしい。
『ガール6』はスパイク・リーで一番好きな作品、と言うか、自分の中で十指に入る。
余談・その2。
あの双子のポールダンサーがガムを膨らませて割る音で暗転させて、次のカットでクレオを登場させる演出良かったなあ。
ポップでスマート。
しかしAmerieの"1 Thing"はともかく、Foo Fightersの"My Hero"でポールダンスって何やねん。