本日の『Baby Princess

今日は霙姉さん

夕凪と星花が――
昨日から。

海晴姉とバトッてる。

ほほぅ!

なんでも――

アルバイトを
したいらしい。

ほほぅ。

もちろん――
小学生でもできる
アルバイトなど――
あるわけがないから。

あ、近所の精肉店
おばちゃんのやってる
コロッケ売り場なら――

いつもウチがコロッケを
30個ほど買うたびに――

おばちゃんが言うように
看板ムスメとして
雇ってくれるかも
しれないけれど――

(なにしろ夕凪は
コロッケ顔だ)

最後!おい、姉さん、最後!

2人が言っている
“アルバイト”は――

家庭内アルバイトのことだ。

そういうことか。

もちろん。

そういえば――

昔は私もけっこう
やったものだな。

ほんとに?

お風呂掃除をしたら
1回10円とか――

洗濯物を畳んだら
1回30円とか――

そんな小さなお金を貯めては――

よくたい焼きを買ったものだ

幼少時からぶれない嗜好。

ああ、かわいらしい――
私の子供時代!

今も変わって無いですよ、ええ。

でも――

夕凪と星花の方は
そういうかわいらしい
欲望とは――

ちょっと様子が違うようだ。

海晴姉に――

項目ごとの単価のアップと
お手伝い項目の増量を求めて――

春闘してる。

皿洗いやら庭掃除やら
おつかいやらを――

おこづかいの対象に
してほしいという
ことのようだな。

うーん。

これは難しいところだな。

皿洗いは春風や蛍たちが
ふだんやっているし――

庭掃除は当番制、
おつかいは――

家族なら誰だって
無償でやらなければいけない
当然の義務だったり――
するわけだし。

労働、厳しいですな。

それにしても――

いつも無駄遣いばかりの
ほしがり夕凪はともかく――

星花まで共闘してるって
いうのは不思議だ。

さいですね。

クリスマスもお正月も
過ぎた今になって――
ほしいものがあるとは――

不幸な娘たちだ。

確かに間が悪い。

いかにもかわいそうなので
話の分かる姉としては
多少はカンパなど――

してやろうかと思ったが。

今――

私の財布はからっぽなので――
無理な相談だな。

やはり昨日のたい焼きの
買い食いがとどめを刺したな。

ダメ、圧倒的にダメ!

高校生なのに!

ああ――

昔も今も。

20円30円が大事な私の人生は――

変わらずに幸せなのだと言えよう――な?

はぁ。