本日の『Baby Princess

今日は観月

夏の闇は――

短くて――
太い。

そして濃い。

ねばつくような。

夏の夜の闇の底――

そっと手を伸ばせば
まるでこの掌に
取れそうなほどに――

たしかに感じられる
濃密ななにかの気配。

満ち満ちて怪しく
うごめく無数の熱い
モノノケたちの気が――

わらわのこの――
ヘソの下、

丹田のあたりから――

ざわざわと。

流れ込んでくるのを
今宵は感じる。

生あるものも、
生なきものも。

巫女体質。

ああ――

このままでは、今宵――

わらわはこの身のうちに
得体の知れぬ何ものかを――

孕んでしまうやもしれぬ!!

えーーー!

今宵はずーっとそばにいて、
わらわの五体を守ってたもれ。

この夏闇わらわの身を守るもの、
それこそはきっと兄じゃの――

愛じゃ

俺が孕んだらどうしよう。