2013-01-01から1年間の記事一覧

『マーサ、あるいはマーシー・メイ』を観た。影が重さを生み、その重さによって私はどこまでも沈んでいく。過去と現在、夢と現、それぞれのカットの繋ぎ目の無さ。そのせいで引っかかることなくさらに深く沈んでいく。一体どこで、何を、間違えたのだろう。

『ガッチャマン』を観た。この世界中を巡る憎しみの連鎖に閉じ込められた一人の少女と二人の少年。その鎖の外を望んだ彼女たちはしかし、そこにも憎しみしかないと知る。だが、憎しみが捨てられないならば、せめて片手には愛を握ろう。そういう話でした。ス…

『パシフィック・リム』を観た。シャッター・ドームの扉が開き、その先の光景が現れた時の胸の高鳴りはかけがえのないものだった。危うく泣きそうになった。イェーガーを飛ばさないことによってイェーガーは重さを手に入れた。重さは大きさで、大きいことは…

『ペーパーボーイ 真夏の引力』を観た。ひと夏の冒険を裏返した話。回想という形式、白昼夢めいた演出のせいで、その悪臭がダイレクトに届いてこなかったのが残念。しかしここ二、三年のマシュー・マコノヒーの最近のキレっぷりはすごいなあ。ザック・エフロ…

劇場版『銀魂』を観た。まさかの『カウボーイビバップ 天国の扉』リスペクト。覚めない夢の覚めた後。

『アイアン・フィスト』を観た。約二時間、あれだけのテンポで語りたおしておきながらこんだけしか頭に入らないのはどういうことなのか。「とにかくかっこいいイメージがいっぱいあるんだ!観てくれよ!」ということなんだろう。そして観ている私は「ワオ!……

『真夏の方程式』、カットや台詞の重ね方、繋げ方がとても丁寧。図らずも『リアル 完全なる首長竜の日』とシンクロするかのような海がスクリーンに広がっていた。夏、死、過去、罪……。でも福山雅治の浮世離れしたポップさが物語を淀ませることなく突き動かす…

『欲望のバージニア』を観た。禁酒法時代のアメリカ、自由と無法の三兄弟と悪辣変態警察官との死闘、というかチンピラ同士の喧嘩。次男の言動から滲み出るアウトローの哲学が三男の阿呆のやらかしによるマッチポンプで掻き消されていった印象が強い。音楽や…

『アフター・アース』を観た。出処を問わず「何か知らないけどスピリチュアルっぽいよね」という意匠をぎっちり盛り込んだ親子二人、心の旅。シャマランらしい真顔で撮ってる感もあいまって凄く地味でしたが、ウィル・スミスの俺様っぷりを抑え込むために刺…

『フッテージ』を観た。「データは死んでも、フィルムは死なず」と映画の魔が夜毎猛り狂う物語。原題よりも的確に作品後の気分を掬い取った邦題だったなあ。何回も座席に縮こまりながらビクビク震えながら観てた。音楽もUlver、Sunn O)))、Boris、Boards of …

『華麗なるギャツビー』を観た。予想に反して終盤の幕開けに鳴り響いたJack WhiteによるU2のカバー、"Love Is Blindness"の示す通り「恋は盲目」であるが、その後に待っていたのは「本当に目を瞑るのは馬鹿正直な奴だけで、賢いやつは薄目を開けている」とい…

『オブリビオン』を観た。「記念写真よ」と彼女が言った時、心が千々に引き裂かれていくような感触が伝わって、この映画を観てよかったと思いました。よく考えればあのタワーも「湖畔の家」だな。何もかもが偽物でできた「俺たちの夢」、「それでもいい」と…

『リアル 完全なる首長竜の日』を観た。一捻りあるのは分かってたけども、唖然とした。前半戦はやたらDV臭のする声色の佐藤健と明らかに危ない中谷美紀を中心に実に黒沢清らしく不穏に進むが、後半戦でちゃぶ台がひっくり返り、それらが使えなくなるや満を持…

『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』を観た。鉄球の中で円を描くルークから地平線の向こうへ走り出すジェイソンへ。素晴らしい作品でした。確かな手腕によって紡がれる物語のリレー。ベン・アフレックの『ザ・タウン』が好きな人にもオススメできるな。閉…

『アンチヴァイラル』を観た。白を基調とした清潔でさらさらした画面。そのキャンバスを彩る病んだ肉体、傷口、血の黒と赤。ただそうして描き出された模様は残念ながら諸手をあげて万歳できるものでは無かった。夢にまで見たハンナとの「融合」に対してシド…

『ラストスタンド』を結構前に観ていた。にも関わらず、感想を書いていなかったのは、つまらないからではなく、むしろすごく楽しすぎて何か家に帰ってからちまちま感想書くのが馬鹿らしくなっていたからだ。意外と気合いの入ったゴア描写、真夜中のスピード…

『ジャッキー・コーガン』を観た。「人類皆平等?確かに平等にクソだな。そのクソを俺が掃除してやる。だから金払え」という映画。そのクソが口から垂らすクソのような泣き言を延々聞かされるせいでうんざりしてくるんだけど、それをブラッド・ピット演じる…

『コズモポリス』を観た。預言者たる若き王が混沌に呑みこまれる物語。他者とのコミュニケーション(セックス、食事、散髪)を望みながらも、すれ違い続け、最後は殺人という形でようやく他者と深く強く繋がれたという悲しい物語。割と理屈っぽい。会話がと…

DIR EN GREYのライブを観に行ってきた。およそ一年ぶり。事前にネットで見たセットリストはだいぶ変わってて驚いた。東京とかは"業"が一曲目だったみたいだけど、今日は"かすみ"でした。他にも『Withering to Death.』からあの曲をやったりしてね。"輪郭"と"…

『ホーリー・モーターズ』を観た。映画についての映画でした。ホーリー・フィルムズ。「何故君はこの仕事を続ける?」「始めた時と変わらない。行為の美しさだ」という会話や随所に差し込まれる映画の黎明期に撮られたような記録映像が示すとおり「人間が動…

『ザ・マスター』を観た。何をやってもうまくいかない人間。どこにいてもうまくなじめない人間。それが死ぬまで続くと知った人間。それを持て余して噛み付いたり叩きつけたりしたりしてようやく空っぽになる話。噛み合わないピースを二時間半ぐらい必死に繋…

『クラウド アトラス』、良かったよ。三時間があっという間だった。世界は舞台、役者は何度もそこに現れて人生という芝居を続ける。六つの異なるストーリーが目まぐるしく入れ替わる構成になっているけど、そんなにしんどくはない。かなり頑張ってストレスが…

劇場版『とある魔術の禁書目録』を観た。日笠陽子による『DTB 流星の双子』だった。流星、流星核、自分の半身、対価、能力、ワイヤー、父への思慕、ゲートの中での再会、弾丸、空の果てへの帰還。一人で黒と紫苑と蘇芳を兼ねてたよね、シャットアウラ。4:4:2…

『ジャンゴ 繋がれざる者』を観た。社会的道義を担うキング・シュルツと、個人的仁義を背負うジャンゴが両輪となって突っ走り、そして一つの神話が生まれた。キャンディ・ランドへひた走るジャンゴからたなびく砂煙が南部の隅々までその神話を運ぶことに疑い…

『ジャッジ・ドレッド』を観た。素晴らしい!ハードなアクション、ダーティかつサイケデリックなビジュアルとサウンド、気持ちよすぎる。久しぶりにストレス無しで楽しめるエンターテイメントを観た気がする。3D上映最終日に滑り込んで良かった。飛び散る光…

『悪人に平穏なし』を観た。溜め込んだ鬱屈が冒頭でかなり理不尽に炸裂したせいでスッキリしてしまったのか、意外と小器用な立ち回りを見せて何なく逃げ切ってしまったのが意外かつ物足りなかった。この手の話でよくある腕ずくの尋問や警官からの逃亡、過去…

『ゼロ・ダーク・サーティー』を観た。フィンチャーの『ゾディアック』を思い出す。大きな闇。そこにひたすら潜り続けることを選んだ人の物語。当たり前だが闇の中に光なんてある訳がない。カタルシスも微塵もない。この映画には勇壮なBGMも、派手なカーチェ…

『アウトロー』を観た。中盤のカーアクションが全てだった。あそこには自由があった。夜の街を暴れ回る赤い車。『ドライヴ』なんかより遥かにドライブしていた。

『ゴーストライダー2』を観た。とにかくやけっぱち。敵味方皆やけっぱち。「金は無い、なら気合いだ」とやけっぱち。ぐだぐだやってる余裕がないから、何もかもがスムーズに進行。で、最低限の抑揚をつけるためにニコラス・ケイジの顔芸が炸裂。某氏も言って…

『脳男』を観た。ただでさえ盆暗物件だった原作をより鋭く、激しく、深くアレンジし直した極限盆暗濃度物件。つまるところ、名作である。これ以上、言うことはない。いや、生田斗真の美しさだけには触れておこう。特に鼻だ。闇夜の中、特徴的な鼻のラインが…