『聲の形』を観た。予告編とか主題歌から想定しているような恋愛ドラマではなかった。罪を償うってどういうことなんだろうかってずっと探っていく物語。誰かとうまくやっていくって本当にできるのかなって試し続ける物語。悠木碧と音響監督さん、ありがとう。

『君の名は。』を観た。神木隆之介くんの女の子演技だ。すごい。すごいフェチを感じた。あとやたらと大きな風景がきちんと魅力的に描かれているのはやっぱりすごいな、さすがだなって思った。

『怒り』を観た。ある殺人事件の犯人探しを中心線として、そこに東京、千葉、沖縄の三つの場所で繰り広げられるドラマが絡んでいくという複雑な構成で、それを演出や編集で見事にまとめあげて、久しぶりにどっしりと腰の据わった映画を観た気分。「怒り」と…

『ゴーストバスターズ』を観た。99パーセントの楽しさと1パーセントの切なさ。基本的には楽しさの波に乗っていられるんだけど、ふとした瞬間に「あの惨めな男は俺だ、俺なのだ」と胃が引き絞られる感じ。みんな、散々言ってるけど、ホルツマン有能すぎでは?…

『スーサイド・スクワッド』を観た。何というか予想に反して「手堅い」という感じだった。「仲間が大事」「家族が大事」「過去は変えられないんだから、今、何をするかが大事」、うぅむ。『フューリー』や『サボタージュ』のようなゴア描写や居心地の悪くな…

『セルフ/レス』を観た。「バカは死んでも直らない」というのは、結局、「その人がその人のまま生きていたら変わることなんて出来ない」という意味なのかもしれないな、なんて。ターセム・シン特有の悪夢めいたビジュアルはそれほど氾濫してなかったけど、燃…

『HiGH&LOW THE MOVIE』を観た。フックの利いたキャラが盛りだくさん、気合いの入りまくったアクションが盛りだくさん、細部まで作りこまれたセットが盛りだくさん、グループごとの挿入歌が盛りだくさんで、回想シーンも盛りだくさん。過去に囚われたままの…

『X-MEN アポカリプス』を結構前に観た。FCとDoFPみたいに実際の歴史上の事件や出来事を絡めるのではなく、純粋にX-MENの世界で完結した物語。前の2作を踏まえているようで踏まえていないような、「え?エリック、あんな啖呵を全世界にきっておいて隠居して…

『ハイ・ライズ』を観た。場所・建物・環境の魔力。逃げればいいのに、逃げられない。逃げられるのに、逃げられない。人と建物と土地の繋がりの不可思議さ。適応していくことの恐ろしさ。そして完璧な備品としてのトム・ヒドルストン。ジェレミー・アイアン…

『シン・ゴジラ』を観た。ゴジラは良かった。まさかの登場から、まさかの熱線、まさかの尻尾まで新しいゴジラの姿をたっぷり堪能できた。だからまあ、うん、台詞を六割ほど刈り込めば好きになれたのかもしれない。作り手の嗜好が全開ということは、それと噛…

『ウォークラフト』を観た。「見たこともないものが見られる」というのがこの手のファンタジー映画の醍醐味だと思っているのだけれど、その点ではちょっときつかった。登場人物を掘り下げるようですぐに退場させたり、死ぬと思ってたら死ななかったり、あま…

『日本で一番悪い奴ら』を観た。期待通りで良かった。一人のまっすぐな男の青春の輝きと、どん詰まりの滑稽さと、破滅に向かう切実さと虚しさ。笑えるし、身につまされるし、きれいなおっぱいがいっぱい出る。暗がりでの怒りと悲しさと愛しさと自棄が複雑に…

『クリーピー』を観た。のっけの面会室から既に全開で期待してたら、まさかこんな期待以上を見せられるとは思ってなかった。ひたすらに辛く、どこまでも落ちていく。もう既に終わりきってしまった後の絶叫。

『貞子vs伽耶子』を観た。タイトルだけで既にオチている企画に対し、両者の設定をいい具合に調整しつつ、ネタは入れながらもおふざけにはならないその微妙な塩梅で、がっつりとホラーで伝奇でバトルな映画に仕上げた白石監督はさすがとしか言いようがない。…

『サウスポー』を観た。想定通り過ぎてどうしようかというくらいの映画だった。ジェイク・ギレンホールは繊細な顔も、ぶちギレてる顔も様になるなあ。「怒りをコントロールする」という内面の問題に対して、「ガード主体の立ち回り」という目に見える解決策…

『デッドプール』を観た。めっちゃ楽しかった。メタもエロもグロもあり、でもラブストーリーの看板に偽りなし。頑なにヒーローの看板を拒むアウトロー、ウェイドの意地の見事さよ。しかしアクションというかデッドプールの体さばきのキレがヤバい。どこまで…

『ヒーローマニア』を観た。弱虫たちが他者から踏みにじられる恐怖や怒りから暴発させてしまった力をきちんとコントロールできるようになるまでを描いた、まごうことなきヒーロー映画。笑えて、ジーンときて、めちゃくちゃ大満足。登場人物の個性が豊かだし…

『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』を観た。なんで原題通り『キャプテン・アメリカ シビル・ウォー』にしないのかと思ってたんだけど、この内容ならいたしかたない……。「国境を超えて、そして一般市民や街の損害を顧みないアベンジャーズの活動に世界…

『コップ・カー』を観た。車を盗んでしまった家出少年二人と、盗まれてしまった悪徳警官の長い一日。テンパった人間の滑稽さを描く手さばきと、「人間は無意味に死ぬ。誰もいない道端で」という醒めた眼差しの鋭さ。少ないとはいえ登場人物それぞれを説明的…

『アイアムアヒーロー』を観た。よくできたアクションホラー映画で、とても満足できた。序盤の日常が徐々に壊れていく感じもハラハラしたし、そのシメとしてのカーアクションのスリルもたまらなかった。中盤の森での二人旅の過剰に感傷さを味付けしない淡々…

『ボーダーライン』を観た。この邦題は微妙に芯を捉えていない、ミスリード気味のものだと思う。途中までは「あぁ、ボーダーラインのこっち側にいるエミリー・ブラントが、あっち側にいるジョシュ・ブローリンとベニチオ・デル・トロと死線を潜り抜けること…

『バットマンvsスーパーマン』を観た。以下はネタバレ込みの感想。

『マネー・ショート』を観た。虚飾に満ちた金融市場に一撃を加えたトレーダーたちの痛快な逆転劇、という装いで宣伝されてるし、元々コメディ畑の監督というだけあって、気の利いたギャグをかましたり第四の壁を壊したりして、ある程度のアッパーさはあるん…

『X-ミッション』を観た。これをトンデモ映画呼ばわりしてる人たちのことは信用できない。友の死によって、ラインを見失った青年が新たな友に導かれ、再びラインを見出すに至る美しく、気高い物語だった。そして思想の強さを説きながら、「だが物理的な力に…

『ライチ光クラブ』を観た。原作とは別物の暗黒青春戯画と化した同じ監督の前作『パズル』を考えると、やはり物足りなさは否めない。破壊のベクトルが全方位に突き刺さってた前作に対し、クラブの内側でぐるぐる回ってる感じ。ただ予告編の時点で分かってた…

『ヘイトフル・エイト』を観た。「閉鎖空間での濃密な会話劇と終盤に待ち受ける意外な展開」という点で『レザボア・ドッグズ』を思い出さずにはいられないわけだが、その思い出だけで十分だと感じてしまったので辛い。西部劇と言うには銃撃戦が起こるまで結…

『白鯨との戦い』を観た。捕鯨が盛んだった19世紀のヨーロッパ、名門生まれの新米船長とたたき上げの一等航海士が対立をしながら鯨油を求めさまようエセックス号を襲った苦難。「資本主義というシステムにも、見渡す限りの大海原という自然にも、人間は勝て…

『オデッセイ』を観た。火星の赤い地平線に人間の知恵と勇気と情熱とディスコ音楽に対する力強い肯定を刻み込む力作だった。ガジェットのデザインや火星の嵐、セルフ手術といった描写が『プロメテウス』が決して無駄でなかったことを感じさせてくれて、それ…

『ブラック・スキャンダル』を観た。昔読んだ花村萬月の『笑う山崎』という小説で、ヤクザが堅気のタクシー運転手に「ヤクザにモノ頼むなんてアホのすることや」と言うくだりがあったのを思い出した。何というかとにかく「微妙に地味」という印象を受ける。…

『エージェント・ウルトラ』を観た。ボーン・シリーズにせよ、『イコライザー』にせよ、本気の暴力集団が全力で殺しにかかってくるところを主人公もまた全力でいなしたり、叩き潰したりするところにスリルやカタルシスが生まれていた訳で、こんなしけたマッ…