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『シン・ゴジラ』を観た。ゴジラは良かった。まさかの登場から、まさかの熱線、まさかの尻尾まで新しいゴジラの姿をたっぷり堪能できた。だからまあ、うん、台詞を六割ほど刈り込めば好きになれたのかもしれない。作り手の嗜好が全開ということは、それと噛…

『ウォークラフト』を観た。「見たこともないものが見られる」というのがこの手のファンタジー映画の醍醐味だと思っているのだけれど、その点ではちょっときつかった。登場人物を掘り下げるようですぐに退場させたり、死ぬと思ってたら死ななかったり、あま…

『日本で一番悪い奴ら』を観た。期待通りで良かった。一人のまっすぐな男の青春の輝きと、どん詰まりの滑稽さと、破滅に向かう切実さと虚しさ。笑えるし、身につまされるし、きれいなおっぱいがいっぱい出る。暗がりでの怒りと悲しさと愛しさと自棄が複雑に…

『クリーピー』を観た。のっけの面会室から既に全開で期待してたら、まさかこんな期待以上を見せられるとは思ってなかった。ひたすらに辛く、どこまでも落ちていく。もう既に終わりきってしまった後の絶叫。

『貞子vs伽耶子』を観た。タイトルだけで既にオチている企画に対し、両者の設定をいい具合に調整しつつ、ネタは入れながらもおふざけにはならないその微妙な塩梅で、がっつりとホラーで伝奇でバトルな映画に仕上げた白石監督はさすがとしか言いようがない。…

『サウスポー』を観た。想定通り過ぎてどうしようかというくらいの映画だった。ジェイク・ギレンホールは繊細な顔も、ぶちギレてる顔も様になるなあ。「怒りをコントロールする」という内面の問題に対して、「ガード主体の立ち回り」という目に見える解決策…

『デッドプール』を観た。めっちゃ楽しかった。メタもエロもグロもあり、でもラブストーリーの看板に偽りなし。頑なにヒーローの看板を拒むアウトロー、ウェイドの意地の見事さよ。しかしアクションというかデッドプールの体さばきのキレがヤバい。どこまで…

『ヒーローマニア』を観た。弱虫たちが他者から踏みにじられる恐怖や怒りから暴発させてしまった力をきちんとコントロールできるようになるまでを描いた、まごうことなきヒーロー映画。笑えて、ジーンときて、めちゃくちゃ大満足。登場人物の個性が豊かだし…

『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』を観た。なんで原題通り『キャプテン・アメリカ シビル・ウォー』にしないのかと思ってたんだけど、この内容ならいたしかたない……。「国境を超えて、そして一般市民や街の損害を顧みないアベンジャーズの活動に世界…

『コップ・カー』を観た。車を盗んでしまった家出少年二人と、盗まれてしまった悪徳警官の長い一日。テンパった人間の滑稽さを描く手さばきと、「人間は無意味に死ぬ。誰もいない道端で」という醒めた眼差しの鋭さ。少ないとはいえ登場人物それぞれを説明的…

『アイアムアヒーロー』を観た。よくできたアクションホラー映画で、とても満足できた。序盤の日常が徐々に壊れていく感じもハラハラしたし、そのシメとしてのカーアクションのスリルもたまらなかった。中盤の森での二人旅の過剰に感傷さを味付けしない淡々…

『ボーダーライン』を観た。この邦題は微妙に芯を捉えていない、ミスリード気味のものだと思う。途中までは「あぁ、ボーダーラインのこっち側にいるエミリー・ブラントが、あっち側にいるジョシュ・ブローリンとベニチオ・デル・トロと死線を潜り抜けること…

『バットマンvsスーパーマン』を観た。以下はネタバレ込みの感想。

『マネー・ショート』を観た。虚飾に満ちた金融市場に一撃を加えたトレーダーたちの痛快な逆転劇、という装いで宣伝されてるし、元々コメディ畑の監督というだけあって、気の利いたギャグをかましたり第四の壁を壊したりして、ある程度のアッパーさはあるん…

『X-ミッション』を観た。これをトンデモ映画呼ばわりしてる人たちのことは信用できない。友の死によって、ラインを見失った青年が新たな友に導かれ、再びラインを見出すに至る美しく、気高い物語だった。そして思想の強さを説きながら、「だが物理的な力に…

『ライチ光クラブ』を観た。原作とは別物の暗黒青春戯画と化した同じ監督の前作『パズル』を考えると、やはり物足りなさは否めない。破壊のベクトルが全方位に突き刺さってた前作に対し、クラブの内側でぐるぐる回ってる感じ。ただ予告編の時点で分かってた…

『ヘイトフル・エイト』を観た。「閉鎖空間での濃密な会話劇と終盤に待ち受ける意外な展開」という点で『レザボア・ドッグズ』を思い出さずにはいられないわけだが、その思い出だけで十分だと感じてしまったので辛い。西部劇と言うには銃撃戦が起こるまで結…

『白鯨との戦い』を観た。捕鯨が盛んだった19世紀のヨーロッパ、名門生まれの新米船長とたたき上げの一等航海士が対立をしながら鯨油を求めさまようエセックス号を襲った苦難。「資本主義というシステムにも、見渡す限りの大海原という自然にも、人間は勝て…

『オデッセイ』を観た。火星の赤い地平線に人間の知恵と勇気と情熱とディスコ音楽に対する力強い肯定を刻み込む力作だった。ガジェットのデザインや火星の嵐、セルフ手術といった描写が『プロメテウス』が決して無駄でなかったことを感じさせてくれて、それ…

『ブラック・スキャンダル』を観た。昔読んだ花村萬月の『笑う山崎』という小説で、ヤクザが堅気のタクシー運転手に「ヤクザにモノ頼むなんてアホのすることや」と言うくだりがあったのを思い出した。何というかとにかく「微妙に地味」という印象を受ける。…

『エージェント・ウルトラ』を観た。ボーン・シリーズにせよ、『イコライザー』にせよ、本気の暴力集団が全力で殺しにかかってくるところを主人公もまた全力でいなしたり、叩き潰したりするところにスリルやカタルシスが生まれていた訳で、こんなしけたマッ…

『クリード』を観た。真っ当な通過儀礼、王族の継承式典という趣。チャンピオンとの死闘の最中、クリードの口から零れた「過ちなんかじゃない」は心を撃ちぬかれた。クリード役のマイケル・B・ジョーダンも、その面構えや歯並びから滲みだす折り目の正しい感…

『クリムゾン・ピーク』を観た。幽霊映画だと思ってたら、眼鏡映画で姉映画だった。ギレルモ謹製異形も随所に出てくるし、いい顔、いい音で画面を彩ってくれるんだけど、それはそれとして姉なんだよなあ。イーディスとルシールの対比を始めとして、色彩設計…

『ストレイト・アウタ・コンプトン』を観た。若者たちの栄光と挫折と闘争を中心人物三人(目はしのきく売人、音楽一筋なトラックメイカー、賢明なラッパー)にそれぞれフォーカスしながら描き出した力作。 暴力を否定も肯定もせず、そこにある確かな作用とし…

2015年のベストな映画五本は『寄生獣』 『岸辺の旅』 『プリデスティネーション』 『ヴィジット』 『ワイルドスピード スカイ・ミッション』あと『PSYCHO-PASS』で。

『コードネームU.N.K.L.E.』と『007 スペクター』と『ガールズ&パンツァー』と『スターウォーズ フォースの覚醒』を観てたんだけど、感想を書くタイミングを見事に逸してしまったな……。

『ガールズ&パンツァー』について。下手から上手へ移動する時、いつもみほの手を引いていたまほ。それが逆転する最終決戦の二人の眼差しの美しさ。だがやはり主役は戦車。アニメだからできる「どう考えても戦車はそうは動けないだろう!」というファンキー…

『007 スペクター』について。なんか権利問題で使えなかったらしいスペクターを復活させてのシリーズ最新作なんだけど、そのスペクター及びその首領たるブロムフェルドを強大に見せようとして「あれの影にも、これの影にもスペクターがいたんだよ。ね、凄い…

『コードネームU.N.K.L.E.』について。米ソの優秀なスパイ二人が核兵器技術を巡る陰謀に挑むスパイアクション。ストーリーは終盤若干ツイストするのを除けばシンプルなものの、ガイ・リッチー監督作品らしいユーモアというかシュールなコントや、細かくフラ…

『ハーモニー』を観た。他ならぬ伊藤計劃が「今、『未来』を映像として描くのは極めて難しい」と言及していた壁に思いっきり正面衝突しているかのようなビジュアルのオンパレードで大変居心地がわるかった。終盤のあの二人の再会のシーンが思いっきり黒沢清…